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子供を産んだ彼女の体調が、日に日に悪くなっていることを私は医者として実感していた。 診療所に出入りしていたあの頃から、彼女は決して丈夫な体ではなかったのだ。 病弱な彼女の体から、定期的に血液を貰って、傷を治して、また貰って。積み重なった負担は産後の身体にはかなり大きかったのだろう。 それでも彼女は「私以外の人間から血を吸わないで」と言い続け、私も彼女以外の人間の血など欲しいとも思わなくなっていた。 彼女の、血だけ。あの血、あの味、あの匂い。私の体はもう彼女の血しか受け付けない。 愛した人を食い物にして、私はやっぱり人間ではないんだと絶望する。 それでも彼女は、私を愛していると言う。人ではない私を受け入れ、小さな小さな娘を抱いて幸せそうに微笑んでいる。 「愛されている自分を誇って」と、彼女が私を睨み付けるから、私はもうどうしようもないくらいに救われたんだ。 私は私のままいればいい。 君に会えて良かった。
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