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私を見つめる娘の瞳が見る見るうちに涙で満タンになる。 どうやらやっと私の寿命も尽きるらしい。 よくもった方だと思う。もうこの世には存在しない彼女の血しか飲みたくないなどと我が儘を言う私は、娘に毎回怒られ、輸血パックの血を口に突っ込まれ細々と生きてきた。 ゆうべ吐血してから私の体のあちこちの機能が停止していっている。遠退く意識。終わりは近い。懐かしい彼女の声が聞こえる。 人間を傷つけないと生きられない私が、せめて何か償えればと、医者という職業を選び働いてきた。 この千年弱の人生で、私は何人の人に貢献できたのだろう。私は人の世界の一員でいられたのだろうか。 「パパ、ありがと。またね」 レイがびしょ濡れのまぶたで微笑む。 レイ。 大きくなったね。ママに似て、すっかりいいお嬢さんになったね。 一人きりにしてしまう事は親としてとても心配だけど。 君はもう大丈夫なはずだ。 君はあのママの血を引いてるんだから。 自分を愛しながら生きていけるね? 約束しよう。 きっといつか君を愛して受け入れてくれる人間がきっと現れるから。 その時、自分の気持ちに嘘をついてはいけないよ。 私は人間ではないから、なんて、そんなちっぽけな事にとらわれてはいけないよ。 しあわせに生きなさい。
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