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「パパ、どうして私達は何回もお引っ越ししなきゃならないの?」 幼かった私は何度もそう聞いた。 パパはいつも困ったような顔をして笑っていた。 パパが困ったような顔をしているのはいつものことだけど。 「レイがもう少し大きくなったら教えてあげるよ。ごめんね」 パパはお医者さんで、患者さんみんなに優しくて好かれていて、そしてすっごくカッコいい。 飽きちゃった私が診察室に乱入しても優しく頭を撫でてくれる。 私はパパが世界一大好きだった。
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