黄色い傘

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黄色い傘

「あ、まただ」  学校の帰り道のことだ。 ばあちゃんが傘をさして歩いてるのが見えた。  空はからっと晴れているのに、ばあちゃんは傘をもっている。 小さな黄色い傘だ。  ばあちゃんは最近、ちょっとおかしい。 ぼーっとしていることが多いし、話しかけても答えてくれなかったりする。 突然ぼそぼそと話しだすけど、その話はよくわからない。  ママがいうには、ばあちゃんは病気らしい。 『認知症(にんちしょう)』っていうらしいけど、ぼくにはよくわからない。  前はいろんなことを沢山おしゃべりしたし、いろんなところに 連れてってもらった。  今はもう、できない。ばあちゃんは、ぼくを見てくれない。  
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