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第1話 どうしようもない男を導け
オサムというどうしようもない男がいる。
オサムはつねにこう考えていた。
「俺こそが偉大なる芸術家。俺こそが次の時代を作るアーティストなんだ。いずれ、俺の偉人伝が図書館に並ぶことになるだろう。今はまだ認められていないが、いずれ世界中が俺の才能に平伏す」
こんなことばかり考えているオサムの仕事はコンビニ店員である。彼は常日頃からこういうことばかり考えているので、友達がいない。仕事もできない。そのくせプライドばかりが異常に高いのだ。
プレイヤーはこんなくそ野郎なオサムを導いてやらなければならない。それがこのゲームに参加した宿命だ。
多かれ少なかれ、人生とはゲームの連続である。いかにルールを把握して高得点をたたき出すか無駄な勝負を繰り返し、小さい世界で勝った負けたの演技を見せつけ、くだらない報酬で自己満足し、参加者の多くが何事も成し遂げられずに死んでいく。
仮に遠い国の大統領が偉大なる功績を残せたとしよう。今、このゲームを開いてしまったプレイヤーにとってはどうでもいいことだ。遠い国の大統領が及ぼす影響など、たかが知れているからだ。
芸術家もしかり。偉大なる音楽家も、作家も、画家も、映画監督も、せいぜい影響力を与えられて銀河系の隅っこの小さい世界の100年足らずだ。そんなものに大した価値などない。
にも関わらず、オサムのように「偉大なる芸術家」として小さい称賛を浴びたい者は後を絶たない。芸術家が自由に見えるからだ。まったくどうしようもない!
オサムは今、目覚めた。
哲学的な意味ではなく、物理的にだ。
さあ、目覚めたオサムは次に何をすれば正しい?
プレイヤーは選択肢を選び、オサムを導いて欲しい。
1 歯を磨いて顔を洗う。 →第2話に進め。
2 全裸で家の外に飛び出す。 →第3話に進め。
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