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「ちゃんと天気予報くらい、確認しないと」
「……ありがとうございます」
「いいえ、また明日」
先に改札を抜けていく背中を見えなくなるまで見送って、いつものようにコンビニでビニル傘を買った。
家に帰れば何本ものビニル傘が俺を出迎えて、そしてまた傘を持っていくのを忘れたのかと呆れ顔の母親が盛大なため息をつくのだ。
こんなことでしか、二人で話す時間を得られないのに、今日もまたろくすっぽ話せなかったと。
この傘たちは俺の後悔の数とも一致していて、何とも情けなさの象徴なのだ。
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