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川に居る妖の悪戯
川の流れが急激に変わって行き、太一は船を動かすことだけに夢中になっていました。
森は大地を包み込み、大地はふたつの物体を包み込み、そして、見守っていた。
ーー神が怒りを上げておる。
ーーあの若造の仕業か?
ーーそうだ。あの小僧と船を川に、
ーーそれがいい。川に落としてやれ!
ーーーーーーそうれ、いけ!
どかん、と船にぶつかる音がして太一はびっくりした。
ーー何だ、この船。ビクともしない。
ーーこの船には強力な船霊が憑いてない。
ーーこれは、神が守っておられるのか?
ーーいや、違うであろう、もう一度やれ。
そうすると、船に先程よりも強い衝撃を与えられ、太一は船の様子を見た。
が、何一つ傷が無くて逆に奇妙なことでありましたが、太一は何事も無かったかのように、船に体を横にしました。
ーーこれは、大変だぞ。
ーーはよう、逃げよう。
ーーそうだな。
ーー神に怒られてはこちらも困るからな。
そうして、太一の側から妖が消えた。
太一には何も見えないので、どんなことが妖の中で話されていたのか、分からないままだった。
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