ひとすじの光

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 のどをひゅっと風が通り抜けた。ベンチに座る僕とトスカの間に、あの変な仮面の頭が割り込んできたのだ。仮面は今の空模様と同じ小雨だけれど、ローブの方はくもったままだ。 「我に話しかけたるとは稀人。どちらも幼きか、狭間のこどもたちか」 「あなた、なんなんですか? 死神?」 「我らアンブレラン。さいごの雨のち、からになった心を虹の国へと渡すが務め」 「アンブレラン……」  ほのかに光を放つ透明な傘に目が留まった。アンディのときは、カラフルな傘を開いたら虹の橋ができた。ローブと同じように、傘の色も状況によって変わるとかなのかな。  トスカがペガサスを抱く腕にいっそう力が入ったのがわかった。アンブレランはひょいとベンチの背を飛びこえると、僕たちの間に深々と腰掛けた。 「僕はラファエロ。ねえ、トニーはどうして死んでしまうの? さいごの雨の気配ってなに? 助けられないの?」 「我らは、さいごの雨の気配のもとに参上する。原因までは知らぬ」 「トニーを連れて行かないで」 「狭間のこどもたちよ、それは君たちの尽力しだい」  アンブレランは窓辺でやっていたように傘をくるくる回している。僕の頭の中で、言葉の最後の部分がエコーがかっている。君たちの尽力しだい……アンブレランはたしかにそう言った。
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