庭があるのだろうか。そう思った亜沙はもう少しで扉の前につくというところで、方向転換をして、家の裏側に続くような細い道を覗き込む。
花が通路の両側にたくさん咲いていて、部屋の中から漏れている明かりからそれらが紫陽花であることが分かった。
「……さ、斉田さーん」
声をかけてみる。返事はないが、話し声はまだ聞こえる。庭で電話でもしているのだろうか、と亜沙は思い細い道を通り抜けてみることに。
紫陽花だけでなくツタなんかがカーブを描いてのびており、木々とあいまって、自然のトンネルのようだった。
そうして導かれるようにするすると歩いていくと、ひらけた場所に出た。
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