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「図書館にある本は利用者が借りるといろんなところに行くでしょう?」
「そうですね。利用者みなさんが近所というわけでもありませんし」
「だから、事前に魔法陣を仕込んでおけば、あとは借りた人が本を持って行った場所を起点にしてつなげるだけですむ。要は、魔女が各地点に行く手間が省けるってこと」
リーラの説明に、亜沙は肘を組んで頭の中を整理する。
「……なるほど、魔女……、は、図書館の本だから利用してるってことですね」
「そうそう」
「じゃあ、斉田さんが他の図書館を出禁になったのは嘘ですか?」
「いいえ、本当。魔法陣がないか探すのにちまちまやってられないから二十冊くらいどさっと借りてくるのね」
「それで二人で探すんだ。お師匠様のほうが早いけど」
どうりであきらが一度に借りていく本の量が多いわけだ。しかし、それも効率が悪い気がする。亜沙のふとした疑問は、わりとすぐに解決された。
「おまけに私がこんな姿だから、魔法を見つけるのに時間がかかるのよ」
「それにさ」
リーラの言葉をあきらが受け継ぐ。
「お師匠様、猫の姿だから魔法を解く方法が魔法陣を壊すことしかないんだけど、全く使えないから物理攻撃するしかなくて」
―物理攻撃、か……。
爪でページごと破くしか方法がないらしい。猫は当然ながら図書館には立ち入れない。借りるしか方法がないわけだ。
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