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もっとも、物理攻撃をするというのには、他にも理由があった。
「あきらは、魔法が使えないのよ」
「……えっ? 魔法使い、なんですよね」
「うん。そのはずなんだけどね。気付いたらなくなってた」
「気付いたら??」
魔法使いの力がどのように存在するかは亜沙には分からないが、気付いたらなくなっているようなものでもないだろうにと思う。
「ウィザー、なんですよね」
「ウィザーでも教えてもらわないと魔法は使えないのよ。だからあきらにも私が教えてたのだけど」
「なんかね、四年前くらいから使えなくなっちゃった」
「五年前よ、大学出たときに分かったんだから」
「ああそうそう、僕二十七歳だから」
そこで亜沙は思い出した。あきらについて知っていたこと。
その一、二十七歳であること。
その二、自称読書家で一度に上限を超える二十冊をかりては一ヶ月以上持ってこないこと。
その三、そこそこ大きな一軒家に一人で住んでいて猫を飼っているということ。
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