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「たぶんその人ね。金髪ならなおさら」
「お師匠様も、人のときは茶色のツヤツヤサラサラな髪なんだよ」
「今そういうのはいいから」
おそらくはじめてのデレをリーラが見せる。亜沙はきれいな白猫がそうなることを脳内で補完しながらまじまじと見つめた。
―会ってみたいな。
「あきら、それよりも大変なことが分かったわ」
「サラという人が他の図書館に行ってるってことですね」
「あきらが出禁になった図書館はいくつ?」
「五!」
自慢げに意気揚々と答えているが、決して誇れる数ではない。
「そして今日一ヶ月の貸出禁止になりました」
「ええ、そうね」
リーラは真顔でうなずくと、亜沙のほうへ顔を向けた。猫のかわいらしい瞳が彼女をとらえる。
「そこで亜沙さんにお願いがあるの」
「わ、私に……?」
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