四.

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「だめ、亜沙ちゃん! これは魔法なんだからっ……!」 「っ、斉田さんは、魔法が使えないんだから一緒でしょ!」  止めようとするあきらにそう言い、両腕を広げて彼をかばうように前に立つ。 「私が受け止めたらきっと隙ができる、だから……」  グングンと白金のはなったそれは亜沙の前に迫る。しかし、あと数センチというところで止まった。当の白金は亜沙を睨むように見る。 「……壁を作ったな」 「壁? え、いや、私ヒトだし……」 「ヒトが魔法なんざ使えるか!!」 「だから私はヒトだってば……、あれ?」  白金にいわれて亜沙も気付く。確かに、壁ができている。  壁を壊すことができない白金の魔法は、煙のように消えた。 「なっ、私の魔法が!」  驚くような彼と反対に、あきらは亜沙の両肩に手を置いていた。 「斉田さん……?」 「思い出したよ、魔法の使い方」  なんだか、やたらかっこつけて言っているがそれならさっさと思い出してほしい、とリーラがいいそうだなと思ったところで亜沙は考えることをやめた。 「魔法は……必要なときに使えるようになってる」 「必要なとき……ですか」 「うん。白金さんが亜沙ちゃんを警戒して身を守るように、僕が亜沙ちゃんを守るために」  彼の言葉とともに、今度は二人の足元から薄い水色をした一ミリあるかないかくらいの厚さの壁がバキバキと音を立てて天に伸びるように生えた。  間違いなく、あきらの魔法だった。攻撃的な白金のそれとは違い、この壁はなんだか優しく思えた。
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