四.

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「変なことを言い出すからですよ」 「だ、だって! だって!」 「白金さん、いるんだよね? 好きになってしまったヒトが」 「…………」  あきらが助け舟を出す。白金はフィッ、と顔をそらしたものの、数秒のあとこくりとうなずいた。 「ほ、ほら! 白金さんはその人がサラ……さんの奴隷になってもいいんですか?」 「……よくありません。いいわけないでしょう」 「だったら」 「でも」  亜沙がさらに白金を仲間に引き入れるべく説得しようとするも、彼はすぐに遮る。 「ウィザーとヒトは寿命が違うんです。もし一緒になれたとしても、彼女のほうが先に死ぬ。七十、八十、九十になったとき……外見がこのままだとバケモノでしょう?」  はじめて、彼が寂しげな笑みを浮かべた。本当は、好きになってはいけない人を好きになっているということも、その先のことも理解しているからこそ、彼は。突っぱねるつもりだった。 「……白金さん。外見なんて、いくらでもつくれます。若作りしてる設定でいいじゃないですか。見た目くらいじゃ、きっと、違いなんて分かりません。分かりっこありません」  だからこそ、ウィザーとヒトの違いは、言われでもしなければ、魔法を使わなければ分からない。 「先に死ぬ彼女を見送って一人になったとしたら? 私はずっと一人で自分の寿命を待つ身となる、そんなこと、私は……」 「それを受け入れられないなら、一緒になることはできないと思います」 ―私、生意気なことを言っている。  その自覚はあった。だが、これは白金と彼の想い人だけの話ではない気がした。例えば、亜沙とあきらのような。
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