四.

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「亜沙ちゃん、物知りだね」 「そうですかね? ありがとうございます」  少し嬉しくなった彼女はフフ、と笑いながらお礼を言う。 「そのクイーンが……リーラさんのお家を襲いまして。そこにいたのが、斉田あきらと名乗るあなた―……キサラさんです」 「あ」  ギクリ、とした様子であきらが身じろぐ。  亜沙はあきらのウィザーとしての名前がキサラ、であることに興味津々だった。 「キサラさん、というんですね」 「うん……あんまり好きじゃない」 「どうしてですか? 私はいい名前だと思いますよ!」 「そう? ありがとう」  亜沙の褒め言葉に、あきらがふにゃりと笑う。そんな笑顔を見た彼女は思わず、成年男性を見てかわいいと思ってしまった。 「キサラという少年をかばって猫になってしまったリーラさん。行方不 明になり、死んだとも噂されていましたが……生きていたとは」 「……居所不明なら、襲われないからって、お師匠様が」  名前を言わなくてごめんね、と亜沙に謝りながら頭をかく。彼女は気にしないで、と軽く首を横にふった。 「……言っておきますが。私が、サラさんがクイーンであることをお伝えしたのはあなた方が初めてです」 「それは、えっと……」 「……協力します、ということです」 「!!」  白金の思わぬ申し出に、亜沙もあきらも目を大きく開きながら嬉しそうに笑った。
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