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五.
その夜、あきらの家には白猫リーラ、キサラことあきら、巻き込まれた亜沙に、助っ人の白金が顔を合わせていた。
しかし、リーラは白金を警戒するように、あきらと亜沙の間で彼を睨めつけている。
「で? なんでウィザーが警戒するどころか素直に協力するわけ?」
「リーラさん、白金さんにも目的があってですね……」
「聞いたわよ、色恋沙汰でしょ。それ以外にあるんじゃないの?」
ゆーらゆら、しっぽが振り子のようにゆれている。
「白金……いえ、魔法使いの名はルマンといいますが、ルマンの名において嘘は言いません。ましてや稀代の魔女リーラ様の目の前で」
その丁寧な物言いと柔和な笑顔は、亜沙とあきらに攻撃を仕掛けた彼とは同一人物だと思えない。
「なら聞くけど、その好きな人の名前言いなさいよ」
「嫌です」
「さっきの言葉は嘘なの!?」
「今はその人のことはいいではないですか」
なんといわれようとも絶対に言わない、そんな固い決意が見える。亜沙はあわてたように間に入った。
「えっと、リーラさん、借りてきた本と作戦会議についてなんですけど!」
「そうだよお師匠様、せっかく持ち帰ってきた本のチェックしなきゃ」
亜沙を助けるようにあきらも言い募る。リーラは仕方なさそうにふいっ、と顔をあきらのほうへ向けた。
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