誘惑の傘

　三日後。天気は大雨。
私は再び玄関口で途方に暮れていた。
三日前にコンビニで買った傘がない…。
朝間違いなく差してきた傘がないという事は、誰かが持って行ったという事だ。
念の為、二十分待ってみたが傘を返しに来る者がいないところからすると盗られたらしい。
コンビニで買ったといっても高校生からしたら結構な出費なのだが…。
玄関口に残っているのはこの間の黄色い傘のみ。コンビニの傘とは見た目が全く違うから間違えたわけではないだろう。
コンビニまでこの傘を借りたいと思ってしまうが持ち主がいつ来るか判らない。傘がなくなっていれば借りられたではなく盗まれたと思うだろう。
勝手に私の傘を持って行った誰かと同じ扱いは嫌だ…。
私は三日前と同じようにコンビニへと向かった。