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…面白い話をせがんだら面倒な謎解きを頼まれた…。お茶目な後輩である。
さて、雪が降る中で公園を徘徊する女性か…。まあ、確かに気になる謎ではあるね…。
まず一番に考えられるのは雪の中を歩くのが好きとか雪の結晶の収集とか…。
いや、それならわざわざ公園内に限定する必要はない。普通もっと広範囲を歩き回るだろう。
何故その公園限定なのだろう?
その公園の特徴…。
今聴いた話の中では思い当たるものが一つ。
「その人、決まった所を歩いてたりしない?」
それは吉田ちゃんの部屋から一望できる事。
彼女に何らかのメッセージを送っているとは考えられないだろうか?
「…いえ、公園内を万遍なく歩き回っているようですよ。」
それに対する答えはあまり芳しいとは言えないものだった。万遍なく歩いているとなると雪にメッセージは残せないだろう。…そもそもそんなものがあれば吉田ちゃんは気付くだろうけど…。
それ以前の問題としてこの行動は多分対人的なものではないと思う。他人が近付いてきても気付かずに、というのはどちらかというと自己完結した行動のような気がするし…。
「公園の形ってどんな感じ?」
公園についてもう少し詳しく訊いてみる。その辺りにヒントがあるかもしれないし…。
「大体十m四方の正方形ですね。」
「正方形?凹んだ部分とかもない?」
「はい。」
本当に思いもよらぬヒントがあった。
要するにその公園は面積が他の場所よりも分かりやすいという事になる。
そんな公園を雪の降る間歩き続ける意味。
閃く。
「多分降雪量を調べてるんじゃないかな?」
「降雪量ですか?」
きょとんとした顔。
「勿論公的にっていう訳じゃなくて私的になんだろうけどね。その公園遊具も樹もないという事は地面と傘の上くらいにしか雪が積もらないしそれらも面積が分かりやすい。調査には丁度いいと思うけれど?」
「…でもそれなら歩き回る必要はないのでは?」
「多分踏んで溶かした回数でどれぐらい降ったか計算しているんだと思う。雪って放っておいたら融けるからね。」
とりあえず納得はしたようだ。
「材料が足りないから動機までは解らない。何かの計画の為に降雪量をチェックしているのかもしれないし、ただ単に雪の量の減少具合で温暖化の進み具合を確認しているのかもしれない。でもとりあえずその公園が使われているのは計測に便利だからだと思う。だから心配しなくていいよ。」
私はそう言って彼女を安心させた。
…まあ、多分元々そんなに不安には思っていなかっただろうけれど…。
因みによく出来た後輩である吉田ちゃんはこの時私を気遣ってか「降雪量」の定義について指摘はしなかった。故にこの話を発表した後で私は「あれ使い方微妙に間違ってたような…」と頭を抱える事になるのだがそれはまた別の話…。
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