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一、覆面婚活パーティーへのお誘い
「藍ちゃん、覆面婚活パーティー行かない?」
「朱理先輩。なんですか、それは」
「参加者全員が覆面をして参加する婚活パーティーよ!」
「はあ」
職場の休憩中に、朱理先輩が私の元にやって来て婚活パーティーに誘ってきた。
お互い独身で、よく街コンや婚活イベントに誘ってくれる。
私は27歳で朱理先輩は32歳だ。
3ヶ月前から月に1度、一緒に参加しているが、お互いにいい人にめぐり合わない。
朱理先輩はどうしても結婚して子供がほしいそうだ。相手はまだいないけど、病院で妊娠できる体かどうか調べてもらったらしい。素晴らしく健康体だったそうだ。
私はどうしても結婚したいってわけじゃない。でも結婚にはあこがれるし、女性として生まれたからにはウエディングドレスを着たいし、母子手帳も持ちたい。
「日時は来週の土曜の1時からなんだけど、今ちょうどね、名前に色がつく人は500円で参加できるキャンペーンやってるの! 普段はもう少し参加費かかるんですって。お得だし、面白そうだから行きましょ!」
「私も朱理先輩も名前に色がつきますね。」
私は藍色、朱理先輩は朱色。
「覆面プロレスラーみたいな覆面なんですって。藍ちゃん、覆面プロレスラー好きでしょ! 覆面かぶれるわよ!」
「確かに覆面レスラーは素顔が隠れていてミステリアスで好きですが、自分がかぶるのは考えてなかったです。何で覆面かぶって婚活パーティーするのか、よくわからないんですけど」
「顔の印象で相手を決めないで、内面で選んでほしいっていう主催者の意向があるのよ!」
「そうなんですか。朱理先輩は行ったことあるんですか?」
「テレビで、そのパーティーを紹介してるのは見たことがあったの。すっごく衝撃的でね、ずっとこころの中にあったのよ。自分もいつか参加してみたいって!」
「はあ」
「ケーキも食べ放題なんですって! 行きましょ!」
「500円でケーキが食べ放題ですか、行きます!」
「由黄ちゃんも誘いましょ。あの子も名前に色がつくわ!」
こうして私、藍色の藍と朱色の朱理先輩、黄色の漢字が入る由黄ちゃんで、覆面婚活パーティーに参加することになった。
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