狂拳童子

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強いヤツが偉い。 強いヤツが正しい。 それが世の中ってもんだと思っていた。 生まれた時から周りには「まともな人間」なんていなかった。 金と暴力で誰かを屈服させて支配する。 それが「正しい大人」の生き方だと思っていた。 幼稚園の頃から喧嘩ばかりしてきた。 他の子どもは鬼ごっことかかくれんぼとか平和な遊びをしている中で。 俺にはそんな遊びを教えてくれる人はいなくて、その代わり人の殴り方と喧嘩の勝ち方は飽きるほど教え込まれた。 手段を選ばず卑怯な手でも勝つ為なら、何でもして何でも使う。 それは狂った獣のようで。 手加減なんて知らない。 ただ相手が「動かなくなるまで」殴るだけ。 幼い頃から笑っている写真は1枚も無い。 俺が嗤うのは誰かを倒して支配した時だから。 虚ろな目とすぐに襲いかかる凶暴さ。 そんな俺はいつしかこう呼ばれるようになった。 狂拳童子(きょうけんどうじ)と。
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