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ただ、これまではそういった時は、登校・通勤時間が終了して程なく、概ね祖父の清さんに抱っこをされるか、手を引かれるかをした、芽生が小さなおでこにアイスのシップを貼り、顔の半分以上を覆ったマスクをした姿で、交番の前を現れます。
どうやら風邪もひいたらしく近くの小さい診療所に向かうところで、
『……おはよう山田くん』
小さく掠れた声ながらも、挨拶をしてくれるので無理をしなくていいと声をかけていたりもしていました。
「思えば確かに挨拶していません、今日、風邪でも引いたんでしょうかね?」
目覚める前の夢の最中から、砂漠のど真ん中のビルで天使に悪魔と、目が覚めてからも常識外の事に振り回されていたのですが、芽生の事を考えたなら地に足が付くという例えが妥当というべきでしょうか、それなりの付き合いのある大人としてもありますが、"毎日挨拶を交わすおまわりさん"として翼は心配をします。
「まあ、普通なら子どもは流行り病でもない限りは、熱出しても3日程度でコロッと治るからそんなに心配するなよ。
それじゃあ、本官は引継をしてから帰るから、後はよろしくな」
ただ、先に芽生の登校時の不在について気が付いてくれた先輩の方は、夜勤明けの最後の仕事を終えて気が緩んでいますが、まだ"勤務中"という事もあって、再び欠伸を噛み殺しながら、自分の常識を口にして早々に寮の方へと戻って行きました。
翼は取りあえず言われた通り、引継をして通常勤務に移りました。
ただ、雑務を熟しつつも、気になるの2つの事で、1つ目は言わずもがなで合い鍵を押し付けて出て来た白黒の美形達のことでした。
そして2つ目の方は、風邪で学校を休んだというのなら、もうそろそろ最近は3年生になった事で、祖父の清さんと手を繋いで近所の診療所に向かうだろう芽生の事となります。
白と黒の美形に関しては、自分達が天使に悪魔だと理解不能なことを口にしてはいましたが、何にしても見てくれは"大人"であったので、彼等の身の安全等に関しての心配は微塵もしてはいませんでした。
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