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多分話している相手は成人している、名前と声の質からして女性だと弁えていた筈なのに芽生の名前が登場してきたことで、思わず言葉遣いも、子どもに合わせた物言いとなり、交番の中に1人の状態ながらも、翼は軽く赤面をする事になります。
具体的にいうなら、学校の先生に思わずお母さんと呼びかけてしまった系の恥ずかしさを伴いながら、次の発言を"どうしたものか"となっている内に、
『つばさっち!声でも伝わって来るだろうけれど、"典ちゃん"は守ってあげたくなる系のSignoraだぞ!』
と、割り込み飛び出すように再びスマホから黒い美形の声が出て来て、"どうしたものか"という状態からは抜けましたが、次に聞こえてくる"典ちゃん"の
『アクツさん!?』
発言に、今度は翼が
「あくつさん?」
と、鸚鵡返しにをするような事態になります。
『早乙女さん、申し訳ありません、翼にまだこの状況をうまく話せていなかったことを思い出したので、今一度携帯電話を借りても構いませんでしょうか?』
『あっ、はい、どうぞ』
所謂すかさずというタイミングで白い美形の声が今度は入って来て、再びスクールカウンセラーのスマホは"天使"とチェアマン佐藤さんから紹介された存在が語り始めます。
『翼、早乙女さんには、天使と悪魔は従兄弟ということで自己紹介をしています。
日本で生活をするにあたって、外の世界の生活がながくて、言葉はそれ程不自由をしませんが、常識に関しては互いに変な所があるということで、おまわりさんでもある翼にお世話になっているという事です。
それで、日本では日本らしい名前でいた方が常識には馴染みやすいようにと、昨日翼にアドバイス貰った通り、名前の方も、天使が勅使河原と、悪魔は阿久津と、早乙女さんには伝えました』
「ああ、そういう設定なんだな……」
早乙女典子さんの携帯からではないのなら、思い切りどこからその名字を引っ張って来た?!と、小一時間程尋ねたい心境になりつつ、平静を装いながら答えを返しました。
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