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『ええ、まだまだ日本語が不自由ですが、変な所は遠慮なく仰ってくださいね、翼』
「俺としては、日本語よりも他の事、勅使河原と阿久津に色々言いたいなあ」
一矢報いるという気持ちで、口に出したい他の事を抑えて、思いを込めてそう伝えました。
『翼、この電話は借りているのですから、長々とお話をしては非常識ですよ?。
お仕事が終わってから家で話をしましょう、幾らでもお付き合いいたしますので』
『仕事終わって、飯食いながら親交深めようぜ、つばさっち!』
「……!?(お前が言うのかよ?!)」
ただ伝えた思いも虚しく、一歩進んで二歩下がるといった調子で、日本という国において勅使河原と阿久津となって、山田翼の下宿に居座る事になった、天使と悪魔の白と黒の美形にそんな言葉を返されて、翼は非常にむかつきます。
特に、天使である白い美形勅使河原に"非常識"という言葉を使われた事が、これ迄自分の中に逆鱗というものは存在しない様に思っていましたが、どうやら存在しているのを無言で自覚させられました。
実際に目の当たりにしたなら、翼の怒りを伝える事も出来た(敢えて流すされた可能性もありますが)でしょうが、交番と翼の下宿先という現実的な距離の空いた通話先でもあるので、6秒程時間が過ぎて諦めている内に、勅使河原となった白い美形こと天使が、スマホを持ち主に返します。
『早乙女さん、何度もありがとうございました』
『いいえ、その困った時はお互い様ですし、勅使河原さんも阿久津さんも、おまわりさんのご親戚ということですから』
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