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勅使河原と名乗る様になった白い美形からスマホを戻され、早乙女がそう語るの聞きながら、自分がおまわりさんという事で、信用されているという事に、翼は内心軽く納得もします。
(日常じゃあそこまで意識をしないけれども、"おまわりさん"って、無条件で一定の信用をして貰える職業ではあるんだよなあ)
決して口には出しませんが、少しだけ早乙女に関して失礼な想像をしていたのは、勅使河原や阿久津と名乗りだした天使と悪魔の白黒美形コンビの、その外見に絆されてスマホを簡単に貸してくれていたのではないかと、言うものでした。
けれども、自分の下世話な懸念が外れた事で、次に翼の胸に浮かんできたのは、不安と心配になります。
「それで、その自分の所に電話をして来たのは、芽生ちゃんの事なんですよね?」
『はい、そうです』
早乙女の語り口からして、下宿までわざわざ赴き、スクールカウンセラーという立場を明かし馴染みの少女名前を告げられ事で、芽生に何かしらあったのだという翼の不安と心配は的中する事になりました。
翼が親し気に芽生の名前を、口にした事でスクールカウンセラーの方も察したものがあった様で、小さく息を呑む音を出した後に、言葉を選んでいるのを感じさせる間を作って話を続けます。
『単刀直入に伺います、山田さんは芽生さんの事をお祖父さんの清さんから、詳しいお話を聞いてはいますか?』
「えっと、理由があってお祖父さんの清さんと1年生の頃から一緒に暮らしているとか。
……その、芽生ちゃんの御両親については話しを聞いてはいません」
正直に告げたなら、そこで"そうですか……"というスクールカウンセラーの方から、相槌をしつつも改めて間が造られました。
(……もしかしたら、芽生ちゃんの個人的な情報だから、天使と悪魔が居る事で個人情報云々気にしているのかな?)
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