お世話になります、くらいは言って欲しい。

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そして尋ねた先で、翼の従兄弟となっている白黒の美形(イケメン)、勅使河原と阿久津に遭遇して、2人から電話を進められて"おまわりさんのスマホ"に電話をして来たとの事でした。 「えっと、じゃあどうしますか?、自分は個人的に先輩で知り合いの婦警さんに、生活安全課の人がいますから、そう言った方面から芽生ちゃんの捜索や、保護を促してもらいますか?」 芽生を含めて保護者の清さんの消息がしれないというのなら、何らかの事件性があってもおかしくはないと思えましたが、これには早乙女さんは頭を左右に振りました。 「……もしかしたなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」 スクールカウンセラーが非常に言い難そうに口にしたその言葉に、翼も殆ど極自然に、思考から外していた芽生の両親という存在を思い出します。 「芽衣ちゃんの御両親、御健在なんですね?、そのお父さんかお母さんが御不幸があってとか、2人とも仕事に忙しくて、海外とかに行くから、それでお祖父さんの清さんに預けられているとか、そう言った理由があるんですか?」 自分でも、白々しいという気持ちがは拭えなかったのですが、確認する為に翼は口にすると、スクールカウンセラーを生業とする、年齢からしたなら多分翼とさほど変わらない女性は再び頭を左右に振ります。 翼自身も、これまで深い付き合いをして来たわけではありませんが、落語好きで気風の良い清さんや、大人しいけれど会ったなら欠かさず挨拶をしてくれる少女が、山本家の話をするにしても"祖父と孫娘"しか登場してきていない理由については、丁度今日、交番から電話をかけた後、不在だった際にも考えていました。 (多分、早乙女さんは清さんから、そういった所の実情を話して貰っているんだ) だから、芽生にしたならきっと傷つけてしまうと思って、出来なかった質問を、事情を把握しているカウンセラーに訊ねます。 「芽衣ちゃんのお父さんとお母さんは、どうしたのですか?」 「……私の立場からして、御健在という事しかいえません、すみません」 翼の質問に、早乙女は非常に悔しそうにそう答えていました。
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