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おまわりさん、"警官"として判断し、それこそ警察署の方に連絡をしてに良いぐらいの事案として扱ってもおかしくはないとも翼は思うのですが、それだけではいけないのだというのも、小学校に報告する為に戻っていく葛藤しているカウンセラーの早乙女の様子から十分窺えました。
何にしても、小学校の教職員やカウンセラーという、芽生の事に祖父の清から事情を聴いた上で親身に接して考えてくれているだろう人々は、慎重に慎重を重ねている様子だと話したうえで、翼にはその理由を話すのを躊躇っているのを感じられると先輩でもある水前寺に話します。
すると水前寺は件の"守秘義務"という言葉を後輩に伝えつつ、蕎麦を汁につけながら、途中で口に運びつつという事を器用に繰り返しながら、更に話しを続けました
「おまわりさんは、一般市民が安全に過ごせる事に尽力を尽くして、揉め事が終わったなら、一旦その役割を終えて、自分の地域の安全を守る為に戻らなければいけなくなるけれども……。
カウンセラーさんや、学校の教員さんはこういった事案が世間では始まって終わったという判断する状態になっても、それに関わった子ども立場になって考えるからね。
その子ども達の中で始まって終わるまで、気が抜けない。
……まあ、大体は学年あがったり、担任切り替わったり、卒業転校したなら、はいそれまでよっていうのが殆どだけれど」
そんなオチをつける頃には、早々に水前寺は蕎麦を食べ終わろうとしていて、翼の方も、話しを聞きつつも、蕎麦を音を見事にズズッとたててそれに続く形になります。
「でも、山田の話とカウンセラーの早乙女さんの話を合わせて聞く限り、児童虐待の話としてはややこしそうだわ、ごちそうさまでした」
「え?、芽生ちゃんが虐待にあっているっていうんですか?、ごちそうさまでした」
部活動の合宿等では、俗にいう同じ釜の飯を食う間柄でもあったので、食事の挨拶は共にはっきりと明朗にしつつも、どうやら事情は複雑のようだという結論は、互いに雰囲気で察する事になります。
「……えっと、その御両親が健在という事は判っているみたいですし、芽生ちゃんは身体の何処も傷ついてないし、清さんが言葉で追い詰めることもある様にはみえなかったから……御両親からの育児放棄という事になるんですかね?」
後輩という立場から、極自然に出前のオマケでついていた蕎麦湯を水前寺の使う湯飲みに注ぎながら、消去法で考えた出した結論を口にすると、先輩は頷きました。
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