237人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「ちなみに、つばさっちがリーダーね、よっろしく!」
「まあ、今回は緊急で、学校側やカウンセラーさんや、山田の話があるから仕方ないわね……」
翼が話の内容を理解しかねているうちに、阿久津の言葉に仕方がないといった調子で水前寺が頷いて、自身のスマホを仕舞っていました。
「あ、それでもリミットは18時までですからね、それまでに山本芽生さんの発見の報告がなかったなら、私が課長に報告……というか、課長の耳に入っている時点で"おまわりさん"として動きだすから、よろしくね」
それから改めて、翼の方を向いて留意する旨をを告げたのち、一般市民向けの人当たりの良い笑みを浮かべて、"後輩の従兄弟"と自己紹介を受けた白い美形天使の勅使河原と、黒い美形悪魔の阿久津に向き直ります。
「それじゃあ、勅使河原さんに阿久津さん、本日は捜索協力ありがとうございます。それと良い休暇を日本で過ごしてください」
まだ話の要領を掴めてはいませんが、悪魔こと阿久津の言っていた"芽生ちゃん探索隊"については水前寺は容認をしている様でした。
「休暇を心から楽しめるように近所散策ついでに、芽生ちゃん捜して見つけておくから、期待していてよ!」
「スマホでも見ますが、翼にこの周辺の地図と子どもがいきそうな場所を照らし合わせて捜して見ますから、ご安心を」
阿久津に続いて勅使河原までもが、そう応えてしまったので、もう翼は口を挟む余地が無く水前寺は午後の勤務が始まるからと、そのまま交番を後にします。
水前寺を見送って交番に戻り、翼はカウンセラーの早乙女が個人的な情報が外に漏れぬ様に配慮した時と同じ様に、扉を閉めます。
「それでは翼、この近辺の地図を頂けますか?」
「俺は地図をもらったら、まず駄菓子屋に言ってこようっと♪」
「……その前に、何がどうして、芽生ちゃん探検隊みたいになったのか、確り事情を話してもらおうか」
凶悪犯との対峙はまだした事もない翼ですが、夢から延長して姿を現わし従兄弟だと宣い、SNSグループまであっさりと作ってしまった"天使"と"悪魔"に対して、中々結構な迫力を伴って呼びかけたのでした。
最初のコメントを投稿しよう!