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お昼は盛り蕎麦くらいがいい、山葵は少しで。
「それはカウンセラーさんは責められないわよ、守秘義務があるだろうし」
「ああ、お医者さんでなくてもやっぱりそういうの、あるんですね」
交番で互いに昼食となる出前の大盛の側をすすりながら、翼が午前中にあったこと(夢と夢から覚めて出て来た白黒の美形達は除く)、高校時代の部活の先輩でもある地域の警察署の生活安全課に勤める、婦警の先輩に水前寺康子はそう答えます。
時間は正午となり、芽生の行方は相変わらず依然として知れません。
現状として大掛かりな捜査は行われておらず、翼はカウンセラーさんに、"児童相談所には……"と言葉をかけても、反応が宜しくありませんでした。
取りあえず万が一の時の為に、通報ではありませんが相談として生活安全課の婦警の先輩に、形でも連絡だけはさせて欲しいという事だけは伝えて、了承を得ます。
先ずは"個人的な相談事"として連絡をし、生活安全課の先輩のほうも、幸いな事に比較的余裕があるのと、その責任者である課長が"昼食の時間も兼ねて、事案が起こる前に話しを一通り聞いてこい"という配慮があって、スクールカウンセラーの早乙女さんと入れ替わる形になって、高校時代の先輩が交番にやってきました。
そして出来るだけ、冷静に第三者的に聞こえる様に、早乙女や学校とのやり取りを話しましたが、どうしても不信感を拭えない物言いとなっているのも翼も伝えつつ感じていました。
大袈裟に捜査をする事をしない方が芽生を見つけた時の為になるという発言を、おまわりさんとして訝しみました。
ただ、学校の校長や担任主任にも、電話をしてみて意見を聞いてみて欲しいという言葉に従って、交番から電話をかけてみたのなら、行方を大袈裟に追う事は、やはり控えていた方が最終的に芽生の為になるという意見で一致します。
翼は自分の立場は"おまわりさん"で、毎日挨拶を交わす程度の交流しかないので、日々接していて芽生の事を見ているだろう、カウンセラーや小学校教諭が大袈裟にするべきではないという意見に、どう返していいのかが判りませんでした。
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