エピローグ 最果ての約束

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「〜〜〜〜〜!!」  とろけるほど解されたソコに、灼熱の楔が撃ち込まれる。  声にならない声を上げて、オレは真っ白な高みへと放られた。 「すご……中、ビクビクしてる……」  隙間なく繋がっているのに、  ユリアの切なげな声は何処か遠い。 「動きますよ」 「う、動くな、今、今イッ……」 「知ってます」  ぼやぼやした視界で、  ユリアは微笑んだようだった。 「あぁああっ、あっ、あっ、はぁっ、うぁっ!」  ガッチリと腰を抱かれ、  怒涛の勢いで最奥を突き上げられる。 「ねえ、バンさん……気持ちいいね?」 「う、ぅぅ、んっ、ふっ、は、ぁ」  気が遠くなる。  しかし、手放しかけた意識は、  苦しいほどの快感に、また引き戻される。  出し入れされる長大な熱は、  心地よい部分をこねくり回し、擦り上げ、  オレを容赦なく攻め立てた。 「ぎもぢいっ、奥、すごっ、あっ……」  飲みくだしきれなかった唾液が顎を伝う。  焦点が合わない。  舌もこぼれ出ているかもしれない。  とにかく、先ほどからオレは酷い顔をしているに違いなかった。 「可愛い……」 「んむぅっ」 「可愛い可愛い可愛い……!」  グッとユリアはオレを押し潰すようにして、  唇に吸い付いてきた。  太くてザラついた舌が、口の中を縦横無尽に這いまわる。 「ぅっ、んっ、んんっ、んウッ」  舌を絡めとられ、表面を擦り合わせる。  吸い上げられたかと思えば、唇で扱かれた。 「はへぁ……」  前後不覚というのは、こういう事を言うのだろう。  オレはただ揺さぶられるがまま、  何度も高みへと放られた。 「バンさん、中イキっぱなしだね……  ホント、可愛すぎ……」 「うぅ、ふぅう……」 「……そろそろ、前でもイッていいよ」  パンパンに膨らんでいた屹立の根本から、  ハンカチが外される. 「ひっ、ぁ!」  その瞬間、下腹部で渦巻いていた熱が一気に尿道を駆け上った。 「あああぁぁっ!」  白濁が噴き上がるものの、ユリアの動きは止まらない。 「や、突くなっ、息できなっ、あぁあっ、あっ!」  本能的な恐怖すら覚えた。  けれど、拘束された手では安心を得ることすら出来ない。 「ひっ、ふぐっ、うっ、ゆりあ、ゆりあっ……」  涙ながらに訴えると、動きが緩やかになり、  ちゅ、と頬に優しいキスが落ちた。 「……傍にいるよ。バンさん」 「手、外してくれ……  お前の、こと、抱きしめたい、んだっ……」 「うん……」  ユリアは頷き、手錠に触れる。  軽快な音とともに、オレの手は自由を取り戻した。  ユリアの大きな背に手を回す。  それからねだるように目を閉じれば、  唇を塞がれた。 「ん、んんっ、ん……好きだ、ユリア……好き……」 「僕も大好きです……」  ゆっくりと、再びユリアが動き出す。  自然と腰が上下に揺れる。 「はぁ、エッチだね……  自分からお尻振って……そんなに、気持ちいい……?」 「んっ、んんっ」  オレはユリアの腰に足を絡めた。  力強く引き寄せ、固定する。 「バンさん、これじゃあ動けないよ」  ユリアが困ったように笑った瞬間、  オレは残った力を振り絞って、ゴロリと横に回転した。 「バ、バンさん……?」  ユリアがビックリしてこちらを見上げる。  オレはニッと口の端を持ち上げた. 「さっ……き、から、好き勝手やりやがって……!  お前……生意気なんだよ……!」  肩で息をしてから、身体を弾ませる。 「あっ!」  グラインドからの上下運動、それからまたグラインド……  緩急をつけて、キツく後孔を締めて、腰を振るう。 「そ、んなっ、動いたらっ」  ユリアの頬がみるみる赤く染まっていく。 「こちとらっ、元本業なんだ!  ヒィヒィよがらせられて、終わってたまるかってんだ……!」 「ちょ、あっ、バンさ……!」 「うるせえ、イケよ。おらっ!おらっ!!」 「うっ、ふ、ぁっ……くっ……!」  目を閉じて、ユリアがブルリと身体を震わせた。  ドプドプと最奥に注がれる精に、甘く下半身がとろける。 「……へばらせねぇからな」 「ま、まって、今、イッたばっかりでっ」 「ああ? お返しだよ!」 「あぁあっ、やっ、あっ!」 「はぁ……はは、可愛いな? ユリア」 「つ、ううっ」 「ヨダレ垂らして、あんあんよがって……  お前の方が突っ込まれてるみてえ」 「そんな……」 「イッたばっかだっつーのに、パンパンじゃねぇか。  ほら、もっかいイけよ!」 「ん、んんっ、んっ」  初めは抵抗を試みようとオレの腰を掴んでいた手は、  気がつけばグリグリと下に押すような動きに変わっていた. 「出る、出ちゃうよ、バンさ……」  穴口が、限界まで押し広げられる感覚。  ビリビリと痛みに似たソレに、  足先から電流のような衝撃が脳天へと突き抜ける。  竿肌に浮かぶ血管が、ビクビクと脈動し始めた。  腰を一息に落としたのと、  ユリアの突き上げが合致する。 「んンンッ……!」  肉棹が跳ね回り、  生温かなものが腹の奥に染みていく。 「2回目だってのに、たくさん出たな……?」  ユリアの吐精が終わる頃、オレはゆっくりと腰を持ち上げた。  淫らな音を立てて、後孔から垂れる白濁を見せつけるようにする。 「ほら」 「……っ」 「まだ、出せ――」  出せるだろ?  そう続けようとした言葉は、途中で矯正にとって変わられる。  腰を掴まれたかと思えば、再度突き上げられたのだ。 「おまっ、一気に……っ」 「煽ったのはバンさんでしょ……っ!  もう、寝かせてあげないから……」  ユリアの目が据わっている。  どうやら、火をつけてしまったらしい。 「そりゃこっちのセリフだ」  しかし、負けたくないのはオレも同じだ。  オレたちは甘く口付けを交わしながら、  夜通し、淫らな勝負に興じた。 * * * 「やべっ、仕事っ……!」  朝。勢いよく、上掛けが押しやられた。  隣で寝入っていたバンさんが起きたらしい。 「ん……まだ、早いでしょ……」  外気に晒された素肌が粟立つ。  不満げに彼を抱き寄せようとすれば、  ピシャリと手を叩かれてしまった。 「ダメだ。もう前みたいに、ふにゃけた日常過ごしたくねぇんだよ」 「今日くらいいいじゃないですか」 「ダメ。それじゃあ、また朝にな」 「うー……」  脱ぎ散らかした服を掻き集めて適当に着込むと、  彼はさっさと部屋を出て行ってしまう。  こちらを振り返りもしない。 「仕方ない。僕も起きるか……」  僕はあくびを噛み殺すと、  のそのそと身体を起こした。  もう少しだけ、昨日の甘い余韻に浸っていたかったのに。 「世話係なんて、辞めちゃえばいいのに」  虚しく閉じた扉をぼんやり見つめていれば、  そんな言葉が口を突いて出る。  僕はその言葉にハッとした。  降って湧いたアイデアは、震えるほどいい考えのように思われた。 * * *  それから、3カ月くらいしたある日。  オレはユリアに呼び出された。 「どーした?」  自室のソファに座っていたユリアは、  オレの姿に立ち上がった。  彼の様子は、いつもとどこか違う。  緊張、しているのどろうか?  彼はオレを対面のソファに座らせると、再び腰を下ろす。  それから神妙に手を組むと、口を開いた。 「いろいろ考えたんですけど……  バンさん、世話係辞めてください」 「は……?  はぁっ!? それって、つまりーー」  オレはソファから、蹴るようにして立ち上がった。 「クビってことか!?」
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