愛別離苦《あいべつりく》に沈む

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それは結婚=終活といった、彼女なりに冷静に人生を考えての行動だった。やがて、少ないながらもお互いの財産を残したい、どちらかが居なくなった時に寂しくないように家族が欲しいと子供の話をするようになった。 最近では珍しくなくなった40歳を過ぎてからの結婚も、やはり子供が欲しいと思うと生物学的に難しい問題が色々とあった。 それでも不妊治療を受けることなく、輝子の妊娠がわかったのは生理がこなくなってから3ヶ月が過ぎてからだった。 もともと生理不順だった輝子は、すぐに妊娠したとは思わず、いつものことだろうと気楽にしていた。 しかし、思い当たるところもあり、妊娠検査キットを試したところ陽性反応が出たため、慌てて病院に行くことになった。しかし病院に連絡をしても、病気や怪我ではなく緊急性もないとのことで、2日後の平日の午前中しか予約が取れなかったが、かえってそれが2人を安心させた。
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