我らが筑波

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 ――茨城が魅力度ランキングで一位になるような旅行を企画したいです。  就職活動の面接で理沙が胸を張ってそう言ったとき、周りの学生や面接官は薄ら笑いを浮かべていた。内定者懇談会でも、新入社員研修の打ち上げでも、理沙は同じことを言い続けた。おかげで同期内でのあだ名が「イバラキさん」になった。  からかわれても笑われても、理沙は一向に気にしなかった。いつかツアープランナーになって、最高の茨城旅行を企画する。それが理沙の夢だった。  その夢の入口で、理沙は疲弊していた。新入社員がいきなりツアープランナーになれるわけではなく、カウンター業務から始めるのは理沙も理解していた。しかし配属された店舗に、嫌味な先輩がいることまでは想定していなかった。
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