我らが筑波

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 何か一つミスをすると、いつまでもネチネチと言い続ける。まだ教わっていないことを「この間教えたでしょう。もう忘れたの?」と言われる。クレームをつける客がやって来ると、先輩は引っ込んでしまい理沙が矢面に立たされる。  業務量も多く、毎日のように残業していた。旅行が好きだからこの業界に入ったのに、休日は疲れてしまって出かける気も起きなかった。  憧れの旅行会社に就職して、こんな現実が待ち受けているとは思わなかった。  学生時代の気心の知れた友人に愚痴でも言えれば、少しは気が晴れるかもしれない。だが週末忙しい理沙と、土日が休みの友人たちとの予定が合わず、なかなか愚痴を発散するタイミングが見つからなかった。夏休みも友人たちとタイミングを合わせて取れない。友人たちとは次第に疎遠になっていった。
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