未知との遭遇

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 由羅は寝起きにも関わらず、浮腫むくみのない綺麗な顔をしていた。そういえば、自分の今の顔はどんなだろう。酷いことになっていなければいいけれど。 「そろそろ放して。起きれない」  距離の近さに耐えられずそう言えば、由羅はこちらをじっと見るだけで放してはくれない。 「何?」 「……昨日のこと覚えてる?」 「うん、まあ……」  奏は気まずさから目線を反らした。しかし、今朝の由羅は誤摩化されてくれる気はないらしい。 「じゃあ、俺のことどう思ってる?」 「……」 「ねえ、俺は奏のこと好きだよ。奏はどう思ってる?」  奏は下から上目遣いで見上げてくる由羅の真っ直ぐな目に堪えきれず、両手で顔を覆った。たぶん、番になった朝、奏が酔って記憶をなくしていたことを根に持っている。流石に今日くらい、覚悟を決めて言わなければまずいだろう。せっかく想いが通じたのに、これでは振り出しに戻ってしまう。 「―――きです」 「聞こえない」 「……すきです」  ぎこちなくなってしまったのはご愛嬌。これ以上は素面では無理だ。 「よかった」  由羅がずり上がってきて、奏の顔を両手で包み込むようにして鼻先を擦り寄せてきた。キスをされるのかときゅっと目を瞑る。しかし、いくら待ってもキスされない。そっと目を開けると由羅と目が合った。しかも可愛い顔で笑ってる。奏はむっとして由羅の頬を軽く抓った。 「なんだよ」 「奏は可愛いね」  そう言って今度こそ、由羅が顔が近づけて来る。奏がもう一度目を閉じようとしたちょうどその時、枕元の携帯から電子音がけたたましく響いた。その音に驚いて、由羅を押し退けてしまった。
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