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ちくわ
いつもうちに来る猫の命名権は妹にあって、自分が口出しする事は許されなかった。
今までもらって来たり拾って来た猫ばかりだった。前の猫が死んでからもう飼うことは無いだろうと両親は言っていたが、ペットショップでちょっと大きめになって格安だったからと5万円で買ってきた。
5万円が高いか安いかわからないが、うちの家族はとどのつまり猫好きの集まりだ。
スコティッシュフォールドという種類らしく血統書も付けると店は言ったらしいが、断ったらしい。
雑種ばかり飼ってたうちの両親にとってそんなものはどうでもいいらしい。
可愛ければなんでもいいのだ。
妹はその猫に「ちくわ」という意味のわからない名前をつけ、家族は「ちーちゃん」と言って可愛がった。
それから10年経って、今でもダラダラと無防備に寝転がっている。
日向ぼっこをしながらあくびをして、中年のおっさんのように大きくなった腹を揺らして歩いている。
今日も自由に生きている。
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