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ルイーズ
父が仕事先で貰って来た猫は気高く誰かに擦り寄ることも無く、気品のあるその顔立ちと毛並みから『ルイーズ』と名付けられた。
ご飯が入ってなければ、抗議するかのような声で要求してくる。それでも家族にとって大切な一員だった。
「ルイーズが!」
妹の声で駆けつければ、二階に上がる階段の一番上でへたり込んでいるルイーズがいた。
二階への階段上るのにさえ苦労しているその姿に直ぐに動物病院に運んだ。
長い毛でわからなかったが、お腹に傷があった。外に出していた時に他の猫にひっかかれたらしい。
傷は化膿して内臓までおかしていた。
それでも私達には何も言うことは無かった。
平気な顔をしてご飯を食べていた。
気高き猫が気高きまま死んでいった事を忘れることは無いだろう。
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