二章 拒絶

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パニクリマンシールが目に見えないものと交換できることに強い衝撃を感じた。 だって、パニクリマンシールを渡した剛士が手に入れるものは一体何? 統くんが心霊写真を消すわけじゃない。 心霊写真はきっと残ったままだ。 それに集合写真は皆が持っている。 じゃぁ一体統くんは何に対してパニクリマンシールをもらうの? 剛士の代わりに神社に行くこと? 神社なんて剛士が一人で行けるはずだ。 剛士は神社に行けなくて困っているわけじゃない。 僕は統くんの考えることが僕たちとはまるで反対だと思った。 僕たちはクラスの皆の困っていることを引き受けようとしている。 統くんはクラスの皆の困っていないことを引き受けようとしている。 僕は誰も座っていない統くんの席をしばらく見た。 皆が教室からだんだんといなくなったから僕も教室を出た。 「零二、一緒に帰ろうよ」下駄箱から靴を出すと、後ろから青馬が声をかけた。 青馬は放送委員会の任務を終えたらしい。 「そうだね。一緒に帰ろう」僕は青馬に統くんのことを話そうと思った。
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