五章 試練

2/12
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
「はいー」扉を開けて賢人のお母さんが出て来た。 「阿佐比奈です。賢人くんいますか?」僕は賢人のお母さんに言った。 「零二くん。ちょっと待ってね。賢人、零二くんが来てるわよー」賢人のお母さんは賢人を呼んでくれた。 僕は賢人が来るまでの間、胸がドキドキした。 「おー。零二、ありがとう。コテツを散歩させる前にちょっとファミカンやっていかないか?」賢人は家の中を指差した。 ファミカン?! 僕は思ってもみなかった提案に嬉しくなった。 「いいね。やらせて」僕は賢人について、家に上がった。 賢人の家は酒屋と一緒になっている。 廊下を渡るときに酒屋の様子が見えた。 賢人のお母さんがピンクのはたきで酒屋の中を掃除をしていた。 「コテツの散歩はもう少し後なんだ。それまで零二とちょっと遊びたいなと思ってさ」賢人は言った。 僕も遊ぶのは大歓迎だ。 僕は賢人の部屋に入った。 部屋の正面にテレビが置いてある。 さすが酒屋の息子だ。 子供部屋にテレビがあるのは羨ましいと思った。 ファミカンのカセットが部屋のいたるところにある。 あぁ、僕もこんな家に生まれたかったな。 賢人はテレビのスイッチをつけた。 テレビにファミカンの画面が映る。 ファミカンが上手くて有名な棚田名人が主人公のアクションゲームだった。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!