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四章 関門
僕は統くんがいい子だと思っていた。
でも、青馬は統くんは要注意だと言っていた。
青馬には統くんが一体どのように見えているのだろう?
きっと僕とは違う統くんが見えているのかも。
僕は授業中に、統くんのことを考えた。
統くんにどこも悪いところは無い。
剛士の心霊写真をお祓いして来てくれたし、智子のロケットペンを見つけてくれた。
それに千之介のコレクションを何とかすると言っていた。
どこを取ったって統くんに悪いところは無い。
統くんはいい子だ。
僕は青馬の言うことがよく理解出来なかった。
青馬はきっとクラスの皆の人気が統くんに集まるのが許せなかったんだ。
だから、統くんが要注意だなんて言って……。
僕は青馬がだんだん悪い子に見えてきた。
僕は昼休みに統くんに話をしてみようと思った。
統くんと話せば僕たちの計画にとってプラスになることが何かあるんじゃないか?
僕は千之介が落ち着いて授業を受けているのを見て、安心した。
中休みは僕は机に座ったままだった。
僕の席の周りを何人かの友達が囲んだ。
話題は、千之介のコレクションを持って行った中学生らしき人たちについて。
千之介は相手はたんぽぽヶ丘団地周辺じゃ見ない顔だと言っていた。
もしかしたら、うちの小学校の卒業生かもしれないし、違うかもしれないとも言っていた。
ただ、相手はマスクをつけて私服だったそうだ。
矢吹先生に言うか言わないかという話になったけど、統くんが千之介のコレクションを何とかしてくれてからでもいいんじゃないかという話になった。
反対する意見もあったけど、結局は矢吹先生にはまだ話さないことになった。
統くんは平然として席に座っていた。
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