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五章 試練
僕は帰りのチャイムが鳴ると、急いで家に帰った。
賢斗との約束まではまだ時間がある。
家でくつろいでから賢斗の家に行くつもりだった。
僕はファミカンをしばらくやっていない。
だって、パニクリマンシール集めはファミカン以上に熱中できるから。
それに青馬とも仲が悪いままだし……。
「今日は賢斗の家に行ってくる」僕はお母さんに言った。
「そう、最近青馬くんと遊んでいないみたいだけど、何かあったの?」お母さんは言った。
お母さんは鋭いと思った。
こんなときは何て言ったらいいのだろう?
遊んでいないと言うと心配をさせるかな?
「放課後はね。学校では遊んでいるよ」僕は適当に答えた。
「そう。お友達とは仲良くしなさいね」お母さんは言った。
僕は居心地が悪くなって、すぐに外に出た。
外に出るとムンと熱気を感じた。
家の扇風機との落差が余計に暑く感じた。
賢斗の家には裏の芝生を通って行けばすぐだ。
僕は芝生の中をゆっくり進んだ。
草が足をこすって痒かった。
バランスを取りながらドブを渡る。
破れた金網をくぐり抜け、広い道路に出た。
賢人の家はもうすぐだ。
僕は通りを進んだ。
コテツは元気にしているだろうか?
僕はコテツと久しぶりに会うことも楽しみだった。
賢人の家の酒屋が見えてくる。
僕はチャイムを鳴らした。
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