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ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
「君か・・・噂に聞いた、パートナーのハンターのいじめに逆上して血祭りにして逃亡した『元』猟犬。」
3階の一室の奥に、豪勢なソファーに寝そべっている1匹の土佐犬が、目の前で肩で息をしていきり立っている元猟犬のセルポを見下ろした。
「しっかし!残念でしたーーーっ!!
俺様は、何人も気が触る人間を皆傷つけた、ギザギザハートの王様でーーーすっ!!
勝ったな・・・俺!!」
「そんなもん、自慢になるかってーの!!
単なる無差別殺人犯だよ!それは!!
この肉団子の王様!!」
「なん・・・だと・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
大きな鼻の孔から鼻息を噴射させ、ソファーから降り立った図体の逞しい土佐犬は、牙を向いてどや顔の野犬のセルポの挑発に乗ってしまった。
「てめぇーーーーー!!俺様を何だと思いやがる!!
俺はこの『城』の王様だぁーーー!!
『王様』に歯向かうとどうなるか知ってるのかーーーー!!」
・・・よーし!!その調子だ・・・
・・・俺には、最強の野良猫のアル様が居る・・・!!
「おい・・・まさか、俺にこいつを倒すの手伝えって思ってるんか・・・?!」
・・・図星・・・
「俺は『無頼猫』だ!!誰の助けもしねぇ!!
てめぇの相手は、てめぇでカタをつけろ!!
じゃあニャ!!」
「野良猫さん!!ちょ・・・ちょっと!!」
野犬のセルポは慌てて引き留めようとも、既に野良猫のアルはそこには居なかった。
・・・じゃあ、いまさっき階段先で敵に囲まれた俺を助けたのはいったいなんなんだ・・・?
・・・本当に猫は気まぐれだなあ・・・
「おい!!」
・・・ぎくっ・・・!!
野犬のセルポが冷や汗を垂らしながら振り向くと、目と鼻の先に仁王立ちの『魔犬』が立っていた。
「何時までバトル待たせるんだ!!なんなら、こっちからいくど!!」
ボカッ!!
『魔犬』に巨体を体当たりさせられ不意討ちをくらった野犬のセルポは、激しくバウンドして床に転げ壁に嫌と言うほど身体をぶつけた。
「ひ、卑怯だ!!こいつ・・・!!」
「ああ、卑怯だよ何時でも俺は!!」
バキッ!!
ボカッ!!
ドスッ!!
ガブッ!!
『魔犬』は、無防備な状態に転げたままの野犬のセルポに向かって牙を剥き出して襲いかかってきた。
「とどめだ!!」
「!?」
『魔犬』は、起き上がろうとするセルポの首筋に噛みつこうと迫ってきた。
・・・こんなの体力的に不利だ・・・
・・・俺はもう駄目だ・・・!!
その時だった。
ぴかっ!!
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろ・・・
「ひゃーっ!!」
雷の音に仰天した野犬のセルポは、飛び上がって走り出した。
「がふっ?!」
『魔犬』の鋭く太い牙は、ひるんだセルポの首筋をかすめて空振りした。
・・・間一髪・・・!!
・・・結果オーライ・・・!!
「よし!!今度は俺の反撃だ!!」
野犬のセルポは低く身構え、「う~~~!!」と唸り声をあげて『魔犬』に威嚇した。
「いまだ!!ばうっ!!ばうっ!」
野犬のセルポは『魔犬』が一瞬怯んだその隙に襲いかかろうとした・・・その瞬間!!
ぴかっ!!
ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろ・・・
「雷あひゃーーーっ!!」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
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