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雌のプードルは、濡れた身体を震わせて水滴をふるい落すと、フサフサとした毛並みが現れた。
「ふつくしい・・・」
野犬のセルポはカットされた毛の手入れもされず、そこから生えた毛並みから映える凛々しい姿にしばし見とれた。
「私は、プードルの『セラ』よ。宜しく。」
「あ・・・あ・・・お、俺はポインターの『セルポ』そして、これが・・・あれ?あの俺とプードルを助けた猫がいない?!
気紛れだなあ。猫だけに。」
プードルのセラは、オホホと含み笑いした後話を続けた。
「私はね、逃げてきたの。城から。
突然君臨してきた悪い王様の手から逃げてきたの。
本当に突然よ。突然、城にやって来たとたんに部下や家来を蹴散らして、王様を力ずくで追放して・・・」
プードルのセラはそこまで言うと、目に涙を潤ませてうっ・・うっ・・・いきなりしゃくりあげてきた。
「今の・・・城は・・・『魔城』と化して・・・・うっ・・・うっ・・・
私は・・・『性奴隷』として・・・」
「せいどれい?!」
セルポには、どういう意味か解らなかったが、なんとなく想像で掴めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
プードルのセラは激しく号泣した。
「酷いことするねえ・・・
苦しかっただろ?
怖かっただろ?
でもダイジョーブ!!
俺は君を護るから!!どーんと任せろ!!」
・・・えっ・・・?!
・・・何言ってるんだ俺・・・?!
・・・このプードルちゃんの美貌にノックダウンされて・・・?!
・・・本当にプードルちゃんの言ってる悪い王様より先に、可愛いプードルちゃんの美貌にノックダウンされちゃったよ・・・
「しゃあない!!雄犬なら有言実行だ!!じゃあ!プードルちゃん!涙拭いて!!
その城って何処なのよ!」
ざざっ!!
そのプードルとセルポとの一部始終を、草葉の影から1匹の偵察担当犬が覗き見していたのを、2匹は知らなかった。
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