4#雌野良プーの正体

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 雌のプードルは、濡れた身体を震わせて水滴をふるい落すと、フサフサとした毛並みが現れた。  「ふつくしい・・・」  野犬のセルポはカットされた毛の手入れもされず、そこから生えた毛並みから映える凛々しい姿にしばし見とれた。  「私は、プードルの『セラ』よ。宜しく。」  「あ・・・あ・・・お、俺はポインターの『セルポ』そして、これが・・・あれ?あの俺とプードルを助けた猫がいない?!  気紛れだなあ。猫だけに。」  プードルのセラは、オホホと含み笑いした後話を続けた。  「私はね、逃げてきたの。城から。  突然君臨してきた悪い王様の手から逃げてきたの。  本当に突然よ。突然、城にやって来たとたんに部下や家来を蹴散らして、王様を力ずくで追放して・・・」  プードルのセラはそこまで言うと、目に涙を潤ませてうっ・・うっ・・・いきなりしゃくりあげてきた。  「今の・・・城は・・・『魔城』と化して・・・・うっ・・・うっ・・・  私は・・・『性奴隷』として・・・」  「せいどれい?!」  セルポには、どういう意味か解らなかったが、なんとなく想像で掴めた。  「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」  プードルのセラは激しく号泣した。  「酷いことするねえ・・・  苦しかっただろ?  怖かっただろ?  でもダイジョーブ!!  俺は君を護るから!!どーんと任せろ!!」  ・・・えっ・・・?!  ・・・何言ってるんだ俺・・・?!  ・・・このプードルちゃんの美貌にノックダウンされて・・・?!  ・・・本当にプードルちゃんの言ってる悪い王様より先に、可愛いプードルちゃんの美貌にノックダウンされちゃったよ・・・  「しゃあない!!雄犬なら有言実行だ!!じゃあ!プードルちゃん!涙拭いて!!  その城って何処なのよ!」  ざざっ!!  そのプードルとセルポとの一部始終を、草葉の影から1匹の偵察担当犬が覗き見していたのを、2匹は知らなかった。
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