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「来週の土曜日に私は16になります。旦那様とはその日の内に籍を入れるという話になっています」
「……」
「だから…出来れば次の授業予定だった金曜日で最後にしたいんです」
「それ、隆壱さんも承知しているの?」
「…まだ話していませんけど、でも私がそうしたいといえば旦那様は──」
「認めない」
「!」
いきなり向かい側に座っていた先生の手が伸びて来て私の掌を掴んだ。
「そんな事、僕は認めないよ」
「せ…先生…?」
「絶対に諦めない。僕は君を──」
「!」
先生に掴まれた掌が心と同様にとても痛んだ。
大好きだった勉強を止める──それは決して私が望んだ事ではなかった。だけど──……
「どうした?」
「……え」
その日の夜、ベッドで体を横たえているとお風呂上がりの旦那様が優しく肩を抱きながら訊いて来た。
「珍しいな、美織がボーッとしているのは」
「…そう、ですか?」
「あぁ。いつも何か読んで待っているじゃないか」
「……」
いつも私は旦那様がお風呂から上がって来るまで本を読んでいた。だけど今日に限ってベッドに本を持って来る事すら忘れていた。
「何かあったのか」
私の上に跨り寝間着を脱がしながらキスして来る旦那様。
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