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信じて疑わなかった未来が先生という名の小石が投げ込まれた事によって波紋が生まれ、大きく揺らぎ始めた私は例えようもない恐ろしさを感じた。
「美織?」
「…私…来週で先生との勉強を止めようと思います」
「何故だ」
「何故って…旦那様と結婚、するからです」
「結婚するといっても戸籍上での話だ。生活は今までとそう大して変わらん」
「……」
「おまえは勉強が好きだろう?俺と結婚してからも子どもが出来た後でも思う存分勉強するがいい」
「じゃあ先生を……先生を変えてください」
「──どういうことだ」
「女の先生に……変えて
「何故逸人ではいかんのだ」
「……」
「美織」
「!」
熱く感じていた私の中から旦那様は指を引き抜き、そして両手でグッと私の両腕をベッドに縫い付けた。その真っ直ぐな視線は私の奥底までを見透かすように睨んだ。
「逸人との間に何かあったのか」
「……何も…何もありません」
「嘘をつくな」
「嘘じゃありません!何もないからこそ…今ならまだ何もないから…変えてくださいと」
「……」
ポロポロと流れ出した涙が頬を伝って耳にまで達した。そのくすぐったさから少し身を捩る。
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