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……………誰も喋ろうとしない。
とりあえず、俺から話しかけるしかないだろう。
どうして俺がこんな場所に連れてこられたのか、なんで女装をさせられているかなどの疑問を問う。
そうじゃなければ、この痛いほどの沈黙を破ることなど出来ないのだから。
「あの俺はなぜこのような場所に連れて来られたのでしょうか」
「ああ……本当に娘のミシェルではないのだな」
「本当ね……でもミシェルにそっくり」
なんか話が噛み合っていないような気がする。
元父に元母も何か違うような?
「うん、君になら任せられる」
「??????」
元父は満足そうに何度も頷いている。
いや、どういうこと?
俺がよく分からないという顔をしているのを見かねてか、老執事が助けを出してくれた。
「旦那様。もう少し、詳しいお話された方がよろしいのではないでしょうか。
こちらのお嬢様が困っております」
「……ああ、そうだね」
どうやら、ようやく元父が話してくれるらしい。
ありがとう老執事よ。ただ、俺はお嬢様ではないが。
「初めましてになるのかな?私はアルケーニア・エリーズ
この国の公爵家の当主にして、宰相の職を持っている者だ」
「私はヴァリエーミ・エリーズ
隣のアルケーニアの妻よ」
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