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「は、はい。俺は……」
「ああ、君のことは知っているよ」
そりゃそうか。
「実は君に頼みたいことがあってね」
「俺にですか?」
「うん。君にね」
いよいよこの人たちが俺を女装させてここに呼んだ意味がわからなくなった。
公爵家の御当主に妻、そしておそらく信頼を置いているであろう執事とメイド。明らかに何か秘密にしなければならない頼み事であろうことは目に見えている。
ただ、それほど大事な頼み事を俺が叶えられるのだろうか。
唯一考えられるのはこの家の今回のお嬢様の影武者といったところだろう。
なにせ見た目は似ているし
ただ、俺はまだ子供。
孤児院の前に捨てられていたらしいから正確な年齢は分からないが、おそらく5歳あたり。
成長期だって来るだろうし、男らしくなるだろう。そうなればお役目御免で秘密を知っているため殺される。
ヤベー……今世も詰んだなー
詰むの早いなー
若干目が死に始めた俺。
「うーん、あなたが大事な部分を誤魔化すから誤解しているようね。」
「あっ本当だ」
「早く話してあげなさい、彼女の目が死にかけているわ」
ここで元母が俺の変化を見抜き、早く細かいことを話すよう元父に言ってくれた。
しかし元母よ、俺は男です
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