01・始まりにして終わり

2/8
前へ
/16ページ
次へ
 なんだこの安っぽい乙女ゲーの設定はと思うだろうが、これがこの世界の内容だと気付いたのはよくある卒業記念パーティーにて断罪され、処刑されるまでの間の牢屋入れられショックにより前世を思い出したから。  前世はどこにでもいるような平凡な見た目をした高校生だった。ただし、平凡なのは見た目だけで、中身は到底平凡とは言いづらかったが……  ほら漫画でよくあるだろう、平凡だと思っていたら実は金持ちだったとか……まあ俺の場合はもっと黒い感じだったけどな。   ……簡単に言うとヨーロッパに本支部を持つマフィアの息子だった。  え? なんでマフィアの息子が乙女ゲーなんて知っているのかって? なに、これもまた簡単なことだが、俺には3歳年下の妹がいてそいつがやたらと俺にどのキャラがどれだけかっこいいかという説明を一日1時間は必ずしていたらそりゃあ嫌でも覚えるわ。  しかも聞かないとうるさく泣くというおまけ付きで。  妹は美人だったがそれゆえになかなか普通の恋というものが出来なかったのだろう。思いっきり乙女ゲームやアニメの世界にはまり、今ではオタクとして部屋の中まで染まりきっている。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加