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あと三日
墓場のような静寂と共に、死神の気配が漂う冷ややかな大気に包まれた真夜中の丘陵。
血に飢えた三日月と焚き火の明かりに照らし出されるのは、銃火器を携えた集団である。
二十人はいるであろう武装集団は、不気味に佇む古城を眼下に納めつつ、作戦の最終確認をしていた。
特に班長達は侵入経路、役割、脱出に至るまで互いに入念に話し合っている。
一方、自身の役割を再確認した者達は銃や弾薬等の装備を見直し、作戦開始に向けて各々心を落ち着かせていた。
古城の周囲には、獣の如く低く唸る人影がさ迷うように闊歩している。
彼等に既に生気は無く、腐った身体は所々崩れ落ちていた。
屍人。
いつしかそう呼ばれるようになった彼等は死して尚、自然の摂理に反して活動を続ける、生きとし生ける者の血肉を喰らう悍ましき死徒である。
腐敗と悪臭を垂れ流す死者の行進を眺め、生者達は生唾を飲む。
これから自分達は命を懸け、化け物で埋め尽くされた古城へと突入するのだと。
場の緊張は高まりつつあった。
だが。
そんな中。
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