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「とか言って、あんまり気負いすんなよ。危なくなったら逃げろ」
と、下を向くレーナの頭に、フィンの手が添えられる。
レーナは驚いた様子で顔を上げた。
水面に雫が一粒落ちた様な小さな小さな今の呟きが、フィンには聞こえていたらしい。
何という地獄耳だろう。
「私が逃げたら、作戦が成り立たなくなります!」
「おっと、そうかい。所で、俺は何をすれば良いんだ? まだ詳しく聞いてなかったが」
「どうぞフィンさんのお好きなように戦って下さい。但し、逃げたら報酬金は有りませんから!」
「分かった分かった。じゃ、適当に狩るわ。というか何で怒ってるんだ?」
それだけ言うと、フィンはレーナに背を向けてシルビアの居る方向へと去って行く。
何やら雑談しているが、知った事ではない。
レーナは手元の懐中時計で時刻を確認し、武装した集団の前に立った。
「作戦開始時刻です。皆さん、ご武運を」
行動開始。
各班長を先頭に、四つに別れた集団が古城へと向かって突撃していく。
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