あと三日

7/13
前へ
/160ページ
次へ
 先頭はレーナ達だ。  屍人(アンデッド)を惹き付け、他の班が古城へと回り込めるように囮となる。  レーナは銃を構え、真っ先に交戦に至った。  手持ちの半自動式拳銃から射出された9㎜アンティアル弾は夜の帳を切り裂き、正面の屍人(アンデッド)の片腕に鈍く着弾し貫通する。  次いで二発目を腐った肩口に受けた屍人(アンデッド)は大きくよろけた。  その横をレーナが走り抜ける。  後に続く班員達の銃弾を受け、屍人(アンデッド)の身体は砕け散って行った。  二体、三体と突破していくレーナだったが、その行く手を屍人(アンデッド)の群れが塞ぐ。  一直線に突っ込んだ場合、あっという間に囲まれる事は目に見えていた。  そこで、迂回していた他の班が外から一斉に援護射撃を行い、レーナ達の逃げ道を作る算段であった。  囮と屍人(アンデッド)の包囲網の内側からの射撃という危険な役回りを自ら志願したレーナ。  必死に引き金を絞り続け、土石流のような圧力で流れ込む屍人(アンデッド)を地道に処理していく。  それでも徐々に安全圏は狭まっていき、とうとう組み付かれた。  屍人(アンデッド)の爪が深々とか細い腕に突き立てられ、瞬く間に白地のシャツが赤く染め上げられた。 「この……!」  レーナは銃口を側頭部へと密着させて一発放ち、どうにかその場から逃げ仰せる。  と、他の班員の断末魔の悲鳴が次々と後方から上がった。  無数の屍人(アンデッド)達に首筋を食い付かれ、臓物を凄まじい力で引き出されて絶命している。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加