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先頭はレーナ達だ。
屍人を惹き付け、他の班が古城へと回り込めるように囮となる。
レーナは銃を構え、真っ先に交戦に至った。
手持ちの半自動式拳銃から射出された9㎜アンティアル弾は夜の帳を切り裂き、正面の屍人の片腕に鈍く着弾し貫通する。
次いで二発目を腐った肩口に受けた屍人は大きくよろけた。
その横をレーナが走り抜ける。
後に続く班員達の銃弾を受け、屍人の身体は砕け散って行った。
二体、三体と突破していくレーナだったが、その行く手を屍人の群れが塞ぐ。
一直線に突っ込んだ場合、あっという間に囲まれる事は目に見えていた。
そこで、迂回していた他の班が外から一斉に援護射撃を行い、レーナ達の逃げ道を作る算段であった。
囮と屍人の包囲網の内側からの射撃という危険な役回りを自ら志願したレーナ。
必死に引き金を絞り続け、土石流のような圧力で流れ込む屍人を地道に処理していく。
それでも徐々に安全圏は狭まっていき、とうとう組み付かれた。
屍人の爪が深々とか細い腕に突き立てられ、瞬く間に白地のシャツが赤く染め上げられた。
「この……!」
レーナは銃口を側頭部へと密着させて一発放ち、どうにかその場から逃げ仰せる。
と、他の班員の断末魔の悲鳴が次々と後方から上がった。
無数の屍人達に首筋を食い付かれ、臓物を凄まじい力で引き出されて絶命している。
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