31人が本棚に入れています
本棚に追加
レーナ達の班だけではない。
他の班の人間達も、暗闇の中から突然現れた屍人に対応が遅れ、一人、また一人。
班員達の数は作戦前の半分以下になっていた。
予想よりも屍人の数は多く、古城の中からも次々と出現しているようである。
そうしている間に、他の班長は撤退命令を出し、犠牲に釣り合わない成果のまま戦場を後にしていく。
「嘘、嘘……! 待って!」
レーナも、犠牲者に屍人が群がって出来た隙を付いて逃走を図るが、敵の数の方が圧倒的に多い。
再び死角から襲われ、肩口に食い付かれる。
「あ……ぐ……!」
苦し紛れに発砲し、身体を捻って激痛と引き換えに脱出するも、直ぐに別の屍人に四方から取り付かれる。
鮮血に染まった白地のシャツが破れ、下着も露になっていく。
「嫌! 嫌! だ、誰か助け……」
激痛の中、喰われて死ぬ。
涙が溢れ、そんな絶望感が脳裏を過った。
その時。
無数の射撃音が辺りに木霊し、レーナに食い付く寸前だった屍人の頭部を片っ端から四散させた。
最初のコメントを投稿しよう!